• 今の時代でも「絵を飾る」、「アーティストの作品をお金を出して買う」ということを、

    特別なこと、あるいはある限られた人たちの趣味や行為だろうといった感覚で

    私自身もそうした芸術やアートという世界にはちょっとした疎外感を感じることがあります。

    花を買って部屋に飾る人と、それをしない人。良い悪いのはなしではなく、

    それをする人としない人の違いはどこにあるのだろうと考えることがたまにあるのですが、

    先ほどのそれとなんとなく通じる部分があるように思います。

    自分はどちらかと言えば、敷居の高いものは外から眺めるだけで通り過ぎることが多いように思います。

    しかしたまに飛び越えることもあります。

    普段はその境界線をウロウロしているのですが、飛び越える瞬間というのは、

    なにか自分にとって「特別な価値を持つもの」の空気を感じたときです。

     

     

    このギャラリーでは「絵を飾る」ということを特別なこととは捉えず、

    むしろ「絵」と「自分」とのごく個人的なかかわりの中で生まれる価値に焦点をさだめ、

    絵の利用価値にアプローチしていきたいと考えています。

    ちょっと大げさに聞こえますが、たとえば選りすぐりのコーヒーカップの中から

    お気に入りの一つを見つけてもらい、長く使い続けてもらう、

    というようなこととまったく同じことがしていきたいのだと考えています。

    またその延長線上として「特別な価値を持つもの」を見つけてもらうきっかけになればと、

    絵本や詩集、小説、写真集、哲学書、食に関する本などなど、面白そうな本を手に

    くつろいでいただけるスペース(ギャラリーカフェ)も設けています。

     

    今回、ギャラリーを作ったのは、けしてアーティストを気取りたいわけではなく

    むしろ一職人のような気持ちで、また空間や日常を豊かにするための道具を作るような気持ちで、

    絵を作り壁に並べ、誰かにとっての「特別な価値」に触れられる瞬間を待つためです。

    それにはまだまだ足りないものがたくさんありますが、少しずつ、

    色々な方たちとの関わりの中でこのスペースを多くの方の、

    それぞれに「特別な価値」と出会える場所として育てていきたいと思っています。

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